エコドライブ

クルマは大変便利な乗り物です。雨の日でも濡れずに買い物に出か けたり、駅まで家族を迎えにいったりすることができます。

しかしクルマは石油資源を消費し、地球環境の悪化を促進する排出 ガスを出すことも事実ですが、現代の生活にはなくてはならないもの です。クルマの本来の目的は、荷物や人を乗せて目的地まで移動する ことにあります。より効率的に移動することを考えれば、資源の節約と なり、さらには家計にもプラスになります。移動にはクルマでなく、オー トバイや自転車を使っても良いのです。都市部での5km以内の移動な ら、自転車が最も効率的である、との公式なデーターもあります。

当サイトでは、燃料消費を抑えるさまざまな方法を紹介しています。今後もクルマとうまく付き合って、石油資源と家計の節約のた めにこのサイトをご活用ください。


燃費が良くなる基本の走法

スウィートスポット走法をマスター

ここでは、燃費が良くなる基本の走法、スウィートスポット走法について説明します。
自分のクルマの一番燃費の良いスピードである スウィートスポットを知り、走法を党えれば、あなたも燃費の達人に!

スウィートスポットとは?

皆さんはクルマを運転していてエンジン音をうるさいと感じることは ありますか? 逆にエンジン音が聴こえないほど静かな走りの時はあり ませんか?

通常、「50km/h~60km/h程度での一定走行が一番燃費が良いスピー ド」といわれていますが、この50km/h~60km/h前後で走行している 状態で“一番エンジンの音が静かな時”が、そのクルマの一番燃費が良 いスピードなのです。

クルマをスタートさせ、50km/h~60km/hまでスムーズに加速し、 その後は速度を維持するように高いギア(ギアの数字の大きいほうを高 いギアと呼びます)を使って走ると、エンジンの回転数は低く抑えられ ます。エンジンが低回転で回って最も少ない燃料消費量で動いている時、 エンジンの音は一番小さくなり、エンジンの音よりタイヤノイズや風切 り音のほうが耳に響いてきます。この状態を「スウィートスポット」と 名付けました。つまり、この「スウィートスポット」の状態で走ってい る時が、一番燃費の良いスピードで走行していることになります。これ をうまく見つけて走行することを、私は「スウィートスポット走法」と 呼んでいます。一番燃費の良いスピードで走っているわけですから、エ コドライブを行なっていることになります。

このスウィートスポット走法を維持するには、アクセルペダルを「踏 む」「離す」のではなく、ペダルの上に足を「載せて」微妙にコントロ ールすることが重要になります。アクセルペダルから足を離せば車速は 落ちて、エンジンの回転数は下がり過ぎて、カリガリというエンジン内 の異常燃焼で起こるノイズを出してきます。次はガクガクと大きく震え、 しまいにはガクンとエンストしてしまいます。スウィートスポットはこ のカリガリと音を出す少し上の回転域にあるのです。

まずは、この燃費を良くする基本の走法「スウィートスポット走法」 をマスターしていきましょう。

自分のクルマの「スウィートスポット」の見つけ方

一番高いギアでこのスウィートスポットの状態で走れる速度とエンジ ンの回転数は、個々のクルマによって違うので、自分のクルマのスウィ ートスポットを知ることが必要です。実際に試して自分のクルマのスウ ィートスポットを見つけ、この走法を行なってみましょう。

ここでは、クラッチの付いたMT(マニュアルトランスミッション) 車でスウィートスポットの探し方を説明します。 14頁~15頁のイラスト チャートも参照してください。このやり方はAT車でも応用できますが、 AT(オートマチック)車については後で詳しく紹介しています。

  1. エンジン音を正確に聴き取るために、オーディオなどはオフにしておきます。
  2. 平坦な道路を選んで、ローギアでスタートし、2000回転くらいで次々にシフトアップしてトップギアに入れると、60km/h+αの速度になっているはずです。
  3. そこから、アクセルペダルに載せた足から力を抜いていくと、だんだんエンジンの回転数も車速も下がってきます。
  4. 耳を澄ませてエンジンの音を聴いて、振動をハンドルやシートを通じて感じてください。エンジンの音が小さくなり、タイヤノイズや風切り音のほうが耳に響いてくるのを確認しましょう。 この状態が自分のクルマの「スウィートスポット」です。この状態 の時、エンジンは最小限の仕事しかしていないので、エンジン音も小 さく、タイヤのグリップが少なくなったように思え、まるでクルマが 浮いて進んでいるような「浮遊感覚」を感じます。この、摩擦のない ところを滑っているような浮遊感覚が、スウィートスポット走法の特 徴です。この感覚をしっかりつかんで、体に覚えこませましょう。
  5. あとは、浮遊感覚を感じながら、このスピードを維持するように スウィートスポット走法をします。

このスピードを維持するには、アクセルペダルを踏むのではなく、 少し足を載せるという感じでコントロールするがコツです。

もし、エンジンの回転数が下がり過ぎてカリガリという異常燃焼で 起こるノイズが聴こえたら、繰り返し上のアンダーラインのコツの要 領で、アクセルペダルを踏むのではなく、足を載せるようにするとノ イズが消え、再び浮遊感覚を感じることができます。
以上が「スウィートスポット」の見つけ方と走り方です。

る浮遊感覚がどういうものか体感するには

もし、スウィートスポット走法の特徴である浮遊感覚がどういうもの かよく分からなかった場合、平地よりも浮遊感覚が得られやすい、緩い 勾配の下り坂を走ってみることをおすすめします。

トップギアで長い下り坂を下る時にアクセルペダルを載せた足を外す と、最近のコンピューターで制御されたインジェクションエンジンは燃 料をカットして、シリンダーの中には空気しか入らず燃料が爆発しない ので、エンジンの音は最小になります。すると、タイヤノイズや風切り 音のほうが耳に響き、浮遊しているような感じになります。

平地での走行では燃料はカットされませんが、エンジンが最小限の仕 事しかしないスウィートスポットの状態が疑似体験できます。この感覚 をしっかりと覚え、平地で走っている時にも得られるようにしましょう。

登り勾配ではシフトダウンして速度を維持

では、登り勾配ではどうするのかというと、登り勾配では後ろ方向ヘ マイナスの加速度が働いて、どんどんエンジンの回転も落ち、速度も落 ちてカリガリというノイズが聴こえてきます。アクセルペダルを踏み込 んでエンジンの回転を上げようとしても、トップギアでエンジンの回転 が下がり過ぎているためにエンジンの振動は大きくなり、コンピュータ ーは濃い燃料をインジェクターから噴こうとして燃費が悪くなって、意 図した速度調整がしにくくなります。

こんな時には、1速、必要なら2速分シフトダウンして、エンジンの 回転を上げて速度を維持します。登りでは燃費が悪くなるのは当たり前、 登りの次には下りが必ずあり、下りで燃費をかせげると割り切って、あ まりエンジンの回転数を上げないようなギアを選んで登っていきます。

高めのギアとアクセルワークでエンジンの回転数を低めに

一般道路での制限速度は60km/hですから、交通の流れに乗って走り ながらスウィートスポットを意識して、スウィートスポット走法をする ことは充分可能です。

ただ、スウィートスポット走法では高いギアを選んで走っています。 そのギアをキープしたままアクセルペダルを踏み込んで加速しようとし ても、ギクシャクした動きになってしまうので、臨機応変にシフトダウ ンして、下のギアで加速して必要な速度まで上げたり、ブレーキで速度 を落とす時には、すばやいシフトダウンが必要になります。

また、自分のクルマだけが道路を走っているわけではないので、一番 燃費の良いスウィートスポットの速度をずっと維持して走ることはでき ません。 30km/hの交通の流れなら3速、40km/hなら4速を使って、 5速と同じように低めの回転数で走り、そのギアでのスウィートスポッ トで走れるように訓練をするのです。

エコドライブをしようとして、交通の流れを邪魔して必要以上にゆっ くりと走行し、自分のクルマの後に長い渋滞を作ってしまうとエコドラ イブではなく、エゴ(自分勝手)ドライブと呼ばれて非難されてしまい ます。私が提唱するスウィートスポット走法は、高めのギアを選んでア クセルワークでエンジンの回転数を低めに抑えて、交通の流れに乗りな がら、最小の燃料消費量で走行するという点に最も力を置いています。

発進加速はエンジン回転を抑えながら早めに高いギアにチェンジ

発進加速は、2000回転以下にエンジンの回転を抑えながら早めにシ フトアップして、交通の流れに乗ることを心がけましょう。必要以上に スロースタートする必要はありません。それより、速度を一定に保ち、 無駄な加減速を防ぐ運転が大切です。

そのためには、車間距離を充分に取り、他のクルマの動きにも気を配 って、スウィートスポットを外さないように運転を続けることが重要で す。車間距離が短いと前車がブレーキを踏めば、自分もブレーキを踏ん で車速を殺してしまいます。そこからまた交通の流れに乗るために加速 し、ガソリンを消費しなければならないのです。一度走りはじめれば、 自動車という質量のある物体は、同じ速度で走り続けようとする力を持 ちます。その力を殺さないように、無駄にしないように、最小限の燃料 消費量で走り続けるのが、スウィートスポット走法です。

車間距離が充分ならば、前車がブレーキを踏んでも、まずアクセルペ ダルを離してエンジンブレーキを効かせながら、ブレーキペダルで余裕 を持って減速を最小にとどめ、次の加速をゆっくりとして車間距離を広 げるような運転をします。このようなエコドライブをすれば、事故も 15%減らせるセーフティドライブ(安全な運転)になるというのが、保 険会社の統計で出ています。

同じクルマなら、クラッチが付いたMT車のほうがエンジンの力をタ イヤに伝える伝達効率が良いため、燃費が良いのです。AT車では、ト ルクコンバーターという油圧を介して動力を伝達するメカを使っている のでロスが出てしまいます。しかし、技術革新により、AT車もロック アップ機構というメカニズムを取り入れて、この欠点を克服しようと努 力することで、燃費の差は小さくなっています。

AT車でのスウィートスポットの見つけ方

これまで私は、MT車でスウィートスポット走法を説明してきました が、AT車でもスウィートスポット走法は充分可能です。ATには、コ ンピューターという賢い味方が付いています。特にエコモードやスポー ツモードが選べるようなATならより便利です。

ただし、コンピューターが介在しているので、スウィートスポット走 法で、AT車を完全にドライバーのコントロール下に置こうとするのは 難しいという一面もあるということは、正直に書いておきましょう。

AT車で、どんな加速をしてどういう速度を保って走ろうかというド ライバーの意志をATの頭脳であるコンピューターに伝えるのは、アク セルペダルの踏み方、つまりスロットルワークです。

  1. エコモードを選べるなら、まずエコモードにセットして、アクセルペダルを右足で優しく載せるような感じでスタートさせます。この時、速度計だけでなく、回転計にも気を配って、2000回転以上に上がらないように注意しながら速度を上げて、巡航速度に乗せます。
    軽自動車の場合は660ccしか排気量がないので、ギア比を低くしてエンジンの回転を素早やく高めにすることでパワーの少なさをカバーしているために2000回転を超えるのは仕方ありませんが、3000回転より低めに抑えるのがコツです。
  2. 必要な速度に達したら、アクセルペダルを戻します。この時にコンピューターは、「ドライバーは、もうこれ以上加速することはないというメッセージを伝えてきた」と判断するのです。
    すると高いギアヘチェンジして、さらに最近のATなら、ロックアップ装置が働いて、トルクコンバーターを介さずに、エンジンからの動力をドライブシャフトのほうへ効率良く伝達しようとします。この時、回転計の針が下がりますから、今、シフトアップしたということをドライバーは知ることができるでしょう。
    車種によっては、今、どのギアに入っているのかをドライバーに知らせるインジケーターが付いたAT車もありますが、あまり多くはありません。パドルシフト方式のAT車ならば、どのギアに入っているのかを知るのは簡単です。
  3. MT車のところで説明したように、耳を澄ませてエンジン音が小さくなっているか、タイヤノイズや風切り音が、エンジン音より耳に響くような状態かどうかを確認しましょう。この状態が自分のクルマの「スウィートスポット」です。
    エンジンの音が一番静かな時、タイヤの接地感が小さく感じて、クルマが浮いて進んでいるような「浮遊感覚」を感じてきます。この浮遊感覚はスウィートスポット走法の特徴です。この感覚をしっかりつかんで、体に覚えこませましょう。
    あとは、浮遊感覚を感じながら、このスピードを維持するようにスウィートスポット走法をします。

CVT車のスウィートスポットの見つけ方

金属ベルトとプーリーを使って無段階に変速するCVT車ではどうで しょうか? 燃費が良いと評判のホンダ・フィットのCVTを私が運転 した時、一般道路で30km/h~60km/hでの常用域で、車速に関係なく、 エンジンは1800~2000回転の間で回るように、CVTが変速比をコント ロールしていました。

つまり、コンピューターが、燃料消費量が最小となるスウィートスポ ットでエンジンを動かそうと、エンジンやCVTをコントロールするよ うにプログラムされていたというわけなのです。だからフィットの燃費 は良いと評価されているのです。

一般的にCVT車がトルクコンバーターを使ったAT車と比べて燃費が 良いといわれているのも、こういう燃費に振った制御、スウィートスポ ットを自動的に探す制御を行なおうとしているからなのでしょう。

賢いコンピューターは、省エネ運転をしようと自動的にスウィートス ポットを探しながら車速に応じてエンジンやATにさまざまな信号を送 って制御していると考えてもいいでしょう。ですから、ドライバーは、 アクセルペダルの踏み方で、コンピューターにエコドライブをしたいの だ、という明確なメッセージを送ってやれば、コンピューターはそれに 応えてくれます。後は、ドライバーであるあなたが、運転しているAT 車がスウィートスポットの状態で走っているのか? 五感を使って確か めることが重要です。


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